選抜コミュニティとは?
東大早慶の上位就活生向けにサービス展開を加速させている選抜コミュニティ。
私が外銀在籍時にも時々名前を聞くようになり、外資系企業にとってその存在は無視できなくなっています。
しかしその特徴や活動実態はブラックボックスとなっており、入会学生以外はサービスの内容について分からない状態が続いていると思います。
選抜コミュニティ黎明期に就職活動をしていた者として、外銀ジュニアバンカー時代に社内で話題となっていたことを知っている者として、その内実をできるだけリアルにご紹介します。
外銀外コン志望者のための就活対策塾
選抜コミュニティとは「外資系投資銀行・外資系戦略コンサル志望者のための就活対策塾」のことを指します。
場合によっては就活コミュニティと呼んだりもしますが同義です。
かつては分かりやすく「就活塾」と呼ばれていたりもしましたが、いわゆる学習塾のように生徒側から受講料を取るビジネスモデルではないので、次第に選抜コミュニティと呼ばれるようになりました。
最初は非営利のOBOGコミュニティサービスが将来的な「●●マフィア」を生み出すために優秀な学生を囲い込む目的で始まったと記憶していますが、次第にそのコミュニティ形成の手法を就活支援サービスが模倣し、現在に至ります。
就活支援サービスは学生に対して無料でES・面接・インターン対策講座を開催する代わりに、顧客企業とのタイアップイベントへ学生を送客することで企業側から紹介料を貰っています。
転職エージェントと全く同じビジネスモデルですが、要は学生の個人情報リストを企業側に販売することで売上を立てるビジネスということですね。
その学生リストをより洗練させ、優秀な上澄み層だけを企業に紹介できるようになれば紹介単価が上がるため、就活支援サービスはこぞって優秀な学生の囲い込みを目的に選抜コミュニティを立ち上げたという経緯になります。
2018卒・2019卒の頃から徐々に選抜コミュニティが立ち上がり、現在では多くのコミュニティが乱立する群雄割拠状態となっています。
選抜コミュニティに入会するメリット
選抜コミュニティに入会する直接的なメリットは大きく分けて4つあると思います。
- 選考対策講座を無料で受講でき合格率アップ
- 特に地頭は優れているのにケース面接やフェルミ推定を知らない東大早慶の学生にとっては、そのフレーム習得の訓練ができる絶好の機会です
- エントリーシート・面接・インターンの各フェーズの対策講座が開催されるので効率的なノウハウ吸収が可能です
- 外銀外コン内定者・OBOGとの繋がり
- 講師は1個上の代の外コン外銀内定者や外資系企業出身者のため、入社後も見据えた様々なアドバイスを受けられます
- 場合によっては将来社会人になった後に色々な転職機会等に誘ってもらえる可能性も
- 優秀な同期との繋がり
- 選抜コミュニティもバカではないので、ある程度能力があると思われる学生を選抜しているため、隣に机を並べる同期は自分の就活戦線における良き戦友となるはずです
- 就活は情報戦の側面が強く、筆記試験の解答や面接の内容まで細かくシェアし合える友達を作れると少し就活を有利に進められると思います
- 企業とのタイアップイベントでのアピール機会
- 選抜コミュニティ主催で実際に企業説明会や限定座談会が開催されます
- 外資系企業は説明会色が強くあまり学生を選考しているわけではないですが、ベンチャーや事業会社の場合は立派な選考会形式でイベント開催されることも多く、クローズドな絶好のアピール機会となるでしょう
ザっとまとめると上記のような感じです。
選抜コミュニティに入会することは外コン外銀内定の必要十分条件では全くないですが、就活は情報戦であることを踏まえると入会できるなら入会して損はないはずです。
選抜コミュニティの入会方法
選抜コミュニティへはタダで入会できるわけではありません。
企業と同様にれっきとした選考が存在します。
大体の企業はグループディスカッション(GD)で大雑把に振り分ける選考形式なので、まずはしっかり発言し可能であれば議論をリードするポジションを獲得しましょう。
選抜コミュニティの選考官は内定者である場合が多く、見ているポイントも感覚的な場合が多いです。
そもそも選抜コミュニティに受かったからといって実際に内定が出るわけではないので、内定者としても少しでも良いと思ったら次の選考に進ませる場合が多いです。
というわけで選考官に対して一言でもキラリと光るワードを言えば通過確率は上がるでしょう。
場合によってはその次に個別面接が用意されている場合もありますが、概ねGDでの選考が主なので面接はそのバックチェック程度に行われると思ってもらっていいと思います。
主要選抜コミュニティ10選
さて前置きが長くなりましたが、プロ就活生が入会している主要選抜コミュニティをご紹介しましょう。
1. YC塾
先ほど「非営利のOBOGコミュニティサービス」と書きましたが、要はYC塾を指します。
私は説明会やセミナーに参加したことがないのであくまで伝聞ベースにはなりますが、2013・2014卒あたりの頃から存在する老舗選抜コミュニティとして存在感を放っています。
むしろ選抜コミュニティと呼ばれる前から存在していたコミュニティですが、現時点までは特段営利目的で活動をしているわけではないようです。
あくまでOBOG同士の繋がりを形成する場としての意味合いが強いのだと思います。
ただアメリカの有名ベンチャーキャピタル・Y Combinatorを意識してYC塾と名付けられたとも言われる通り、将来的には優秀な人材プールを各業界に紹介してYC塾マフィアを作ろうとしてるとかしないとか。
その自信の表れは確かなもので、YC塾の選考眼は毎年目を見張るものがあります。
YC塾に合格した学生はこぞって上位の外資系投資銀行や戦略コンサルから複数内定を貰っており、その代のトップ就活生のみが合格できる難関コミュニティと言っていいでしょう。
まあ元々実力や素養のある就活生をピックアップする形式なので、そもそもそういう学生はYC塾に入会しなくともある程度合格すると思いますがね。
時には他の選抜コミュニティであまり評価を受けていない学生も一本釣りすることがあり、蓋を開けてみるとその学生が外銀外コン複数内定をかっさらっていたということも度々発生します。
他の選抜コミュニティが見抜けなかった金の卵を発掘する目も持ち合わせていることからも、より外資系企業の社員目線での選考になっていると言えるでしょう。
YC塾の選考形式は基本的にセミナーを通じてのグループワーク選考です。
セミナー参加自体はオープンなので選考に通る通らない関係なく有益なものになると思います。
そこで確かな実力をアピールできた後は、個別面接複数回を経て入塾が決定します。
1個上のYC塾生および運営者であるBCG出身(だったはず)の方の面接等総合的な観点から入塾者が絞られます。
毎年の合格者人数はサマーインターン前で3~5人程度、サマーインターン後の追加合格で3人程度です。
追加合格に関してはYC塾が拾い切れていなかったプロ就活生が対象なので、サマー前の入塾生経由のリファラル採用である場合がほとんどです。
要はサマーインターンで戦略コンサルや外銀IBDのインターンに数多く参加しパフォームしている学生でない限りは追加合格はないと考えていいと思います。
彼らを取り込むことで内定者実績を少し水増しできるという意味も含んでいますので、まずはサマー前に開催のセミナーに参加して存分にアピールするようにしましょう。
2. FactLogic Executive
YC塾以外の選抜コミュニティは、言ってしまえば東進の東大受験コースのような選抜方式です。
一定程度の実力をアピールできれば幅広に合格が貰えるため、入会のチャンスは広がります。
FactLogic Executive(ファクトロジック・エグゼクティブ:通称ファクロジorエグゼ)はその代表格と言えるでしょう。
就活支援サービスとして有数の市場シェアを誇るスローガン株式会社が運営している選抜コミュニティであり、外資系企業志望者向けのコンテンツを取り揃えています。
スローガンはFactlogic以外にもGoodfindやFastgrow等のブランドラインを持っており、元々はGoodfindによるベンチャー就活支援サービスが基幹事業でした。
要はブランド認知が低く採用に困っているベンチャー企業に対して学生を送客することでお金を貰うビジネスモデル発祥の会社だということです。
そのおかげもあってか2010年代中盤頃はメガベンチャーを筆頭にベンチャー人気が上位就活生でも一定の地位を占めるようになり、Goodfindの更なる拡大が期待されました。
しかし2010年代後半から外銀外コン人気が再燃しより多くの上位就活生がこぞって外資系企業を志望する状況になってきたことを鑑みて、戦略コンサルを志望する学生を受け持つプールが必要になり、FactLogic Executiveが設立されたと考えられます。
その名の通り最初はコンサル対策で始まったコミュニティのようですが、加えて投資銀行対策も行われるようになったみたいです。
講座設計は基本的に内定者複数人が行う形式であり、合格者は外銀コースと外コンコースに分けられて専用の対策が施されることとなります。
内定者がメンターについてくれるため、日常からのトレーニング方法の相談やエントリーシート添削といった様々な使い方が可能となるはずです。
共催イベントも盛んに行われおり、ベインやATカーニーを始めとした特別選考枠も存在するようです。
何でもいいから選抜コミュニティに入って情報収集したい・パワーアップしたいという人は登竜門として受験してみてください。
合格者は例年20~30人程度なので、勿論難易度は高いと思いますが。
3. Alternative Internships
株式会社i Beckが運営する選抜コミュニティサービスであるAlternative Internship(通称オルタナ)。
ワークスアプリケーションズの元採用責任者が代表取締役として運営しているサービスとなります。
毎年運用が変わっているようなので最新の情報ではないかもしれませんが、選考会に参加すると評価がS~Cのように何段階かに分けて付けられ、Sの就活生は選抜メンバーとしてサービスを受けられるようになります。
基本的にはFactLogicと同じような選抜コミュニティであり、合格者には内定者がメンターとしてついて手取り足取り対策を施してくれます。
A・B・Cの就活生については一般向け講座のみ参加が可能で、基本的なエントリーシート対策やキャリアデザイン講座等から着実に対策していく機会が与えられるとのこと。
おそらくスローガンよりもi Beckは事業規模が小さいため、よりアットホーム感の強い選抜コミュニティと言えるでしょう。
ただし共催イベントのラインナップはFactLogicやYC塾と同等であり、モルガン・スタンレーIBDとのタイアップイベント、ベイン・ATカーニー・アーサーDリトル等の戦略コンサルとの共同選考会等も不定期で開催しているようです。
選考難易度はおそらくFactlogic Executive等と同様だと思いますが、選考日程が合えば受けてみていいと思います。
4. ネクスベル
ネクスベルも老舗就活支援サービスの一つです。
奇しくもAlternative Internshipsと同じくワークスアプリケーションズ出身の方が代表を務めている選抜コミュニティです。
今でこそワークスアプリケーションズはベインキャピタルに買収されてしまいましたが、一時期のワークスは新卒採用市場で高い人気を誇っていましたので、全盛期のワークスを支えたお一人ということでしょうかね。
ネクスベルに関しても毎年運用が改良されているので私が就活をしていた頃とは若干違うと思いますが、就活生にたまたまヒアリングする機会があったので話を聞いてみると、比較的現在は入会学生数を絞っているとのことでした。
2019年にレクミーLiveで有名なリーディングマーク社に買収されたネクスベルですが、割と東大早慶のマス層にリーチするリーディングマークとの棲み分けの関係で、より上澄みのみを相手にする選抜コミュニティに変化しているのかもしれません。
かつては多くのベンチャー企業や戦略コンサルとのタイアップ案件も多く抱えており、特に事業会社向けの対策講座が充実していた印象ですが、現在は外資系志望者のレベルアップに絞って対策が行われているようです。
i Beckと同じように割と小さな事業規模の選抜コミュニティなので、合格すれば内定者からの手厚いサービスを受けることができます。
現在は合格者が10人前後と少ないようですが、ぜひ受けてみるといいと思います。
5. 外資就活アカデミア
近年晴れて東証マザーズに上場したハウテレビジョン。
ハウテレビジョンが運営する就活メディアが「外資就活ドットコム」であり、上位就活生御用達の情報収集メディアになっています。
その外資就活ドットコムがよりオフラインで学生の囲い込み強化を図る目的で運用開始されたのが「外資就活アカデミア」です。
サムネイルにある通り、合格者数は10人程度と絞っており、かつマッキンゼー・ボストンコンサルティンググループ(BGC)・ベイン・ゴールドマンサックス・モルガンスタンレー・JPモルガン内定を絶対目標に掲げています。
明らかにYC塾を意識したブランディングですね。
YC塾はもともとそこにメリルリンチとP&Gを加えた8社を「コア8企業」として内定目標に掲げていましたが、現在はその2社が削られて「コア6企業」にKPIが修正されています。
それと全く同じ企業を挙げており、かつ合格人数を削ってブランディングしているところは第二のYC塾を目指す姿勢の表れでしょう。
サービス内容としてはやや語りつくしている感はありますが、合格すれば内定者からの手厚い対策やOBOGとの繋がりが形成できるため、他の選抜コミュニティと合わせて受験してみるといいと思います。
ここからは推測ベースですが、もともと就活支援サービスはメディア事業の方が利益率が高くなる傾向にあります。
というのもオフラインでの講座ベースのサービスは人件費が掛かる上に人海戦術に陥りがちなので、どうしてもスケールに限界があります。
一方メディアはある意味ネット上の不動産なので、基本的には企業からの広告を載せていれば自動的に収益計上できるビジネスモデルです。
勿論選考情報のアップデートやコラム記事等は実施してファンが離れないようにする必要はありますが、それでもオフライン講座をやるよりは人件費も抑えられます。
ですのでぶっちゃけ「外資就活アカデミア」自体でマネタイズをするというよりは、他の就活支援サービスがこぞって選抜コミュニティを始める中で劣後しないように始めたという位置づけだと思います。
要はマーケティング費用ですね。
6. SOLVE
ベイン出身の方とATカーニーの内定者によって運営されている選抜コミュニティ・SOLVE(ソルヴ)。
インプロサイト社が運営する選抜コミュニティで、FactLogicやAlternative Internshipと比較しても新興の勢力になります。
内定者の方はTwitterで個人名も公表して運営しているのですが、個人的にはまだ内定者段階で変に顔出しして会社にバレるようなことがあったら不具合生じないのか不安になります(笑)
彼は21卒内定者なのでまだ立ち上がったばかりであると推測され、まだサービス自体の機能は発展途上なのかもしれません。
タイアップイベント等を期待するというより、コンサル対策をきめ細やかに受けられるという点で利用するといいと思います。
7. Grid
これも最近の就活生から聞いて知った選抜コミュニティなのですが、Webサイトが見つからなかったので文面ベースで。
GridはBCGやベインの内定者のみで運営されている選抜コミュニティのようで、今回紹介する選抜コミュニティの中で唯一学生から受講料を取るビジネスモデルを採用しているとのことです。
見てわかる通りコンサル内定者のみが運営に携わっているので、基本的には戦略コンサル対策専門の選抜コミュニティと言えるでしょう。
合格者人数は不明ですが、結果として他の選抜コミュニティに落選した学生の受け皿になっているとのことでいわゆるTier 2の学生をパワーアップさせて内定まで持っていくのに特化したサービスと言えますね。
8. J-CAD
スローガン系列で運営されている選抜コミュニティ再び。
というわけで割と新興の選抜コミュニティとして台頭しているのがJ-CADです。
外資系志望者は勿論のこと、日系志望者にとっても入会するメリットのある選抜コミュニティです。
というのもJ-CADは選考対策をするのではなく、企業の複数の社員と個別でショート面談をするイベントを何度も開催するという独自のプログラムが組まれています。
面談相手になる企業はモルガン・スタンレーや三菱商事のように選抜コミュニティ層から人気のある企業以外にも、ソニー・JT・三井不動産のような優良日系企業のラインナップもあり、外資系志望者以外の人たちにとってもかなり有益な場となるはずです。
FactLogic Executiveのところで元々スローガンがベンチャー向け就活支援として始まったことは述べましたが、今後は日系大手の中からも太客候補を探したいということでしょうか。
9. GAP
またまたスローガン系列の選抜コミュニティ。
こちらは「京都のFactLogic Executive」と別名で呼ばれているGAPです。
これまで挙げてきた選抜コミュニティは基本的に首都圏のみが活動範囲であり、地方就活生は選抜コミュニティに入ることが難しい状況にありました。
しかしスローガンは京都支社を持っている関係で、昔からGoodfindを京都で展開してきていました。
その関係もあり外資就活用選抜コミュニティの京都版を展開できるのはスローガンしかいなかったわけです。
夏休み期間中等は東京でFactlogic Executiveとの合同強化合宿が開催されたりもするので、特に京大の外資就活生は受験してみるといいと思います。
10. Goodfind Premium Agent Program
Goodfindの選抜コミュニティ紹介が続きます。
こちらは外資就活とは関係なく、事業会社にトップ内定を目指す学生向けの選抜コミュニティです。
リクルート・DeNA等の一流事業会社の事業責任者ポジションを目指す学生に対して、タイアップイベントやワークショップが開催されます。
またGoodfindはもともとベンチャーや事業会社に対して強いパイプを持っているため、他の選抜コミュニティと比較して選考優遇を受けられるチャンスはかなり高いと思います。
換言すればGoodfindから優秀認定をされれば良い口添え付きでクライアント企業に紹介してもらえるので、1次選考スキップのような恩恵を受けることが出来るわけです。
事業会社志望者にとっては中々ない貴重な機会なので、興味があったら受けてみるといいと思います。
選抜コミュニティは外コン外銀対策に必要か?
何度も書いていますが、選抜コミュニティは外コン外銀内定の必要十分条件ではありません。
むしろパートナーやMDレベルは小手先の就活テクニックを嫌う傾向にあるので、あまり大々的に選抜コミュニティに所属していることを選考で口にするのはマイナスでしょう。
また面接やインターンでの立ち回り方についても付け焼き刃の就活対策では限界があり、最後はその人の性格や能力が如実に表れます。
個人的には高校3年生までに培われた地頭力、大学在学中に年上の社会人とビジネスコミュニケーションを取った総量が外資内定のKPIになってくるような気がします。
これらのKPIを持ち合わせている人は、往々にして成熟していて賢いという人間性になると思うので必然的に外資系企業に好かれるわけです。
若いうちからクライアントの前に立つ機会も多いので、こういった人材は内定を獲得しやすいのも納得がいきます。
元々の素養や実力がある人にとって、選抜コミュニティはその原石を就活用に磨いてくれる格好の場ですが、そもそも地頭や人間的成熟度が不足している人はあまり伸びないかもしれません。
むしろ中途半端に選抜コミュニティに受かって「夢」を見てしまった結果、外資の選考で落選してコンプレックスを募らせる人が毎年出ています。
こういった現実もあることは認識しておくといいと思います。
選抜コミュニティの裏の目的
上記の通りつらつらと選抜コミュニティについて語ってきましたが、運営企業的にはそこまでマネタイズの旨味がある事業ではありません。
そもそも外資系企業は人気なので放っておいても学生が受験しに来ます。
となるとわざわざ選抜コミュニティを介さずとも学生と接点が持てるので、中間マージンを支払うインセンティブがないわけです。
学生への訴求力が弱いセカンドティアのハウスであれば一考に値しますが、果たして選抜コミュニティ経由で魅力をアピールしたからと言って、学生を「洗脳」できるほど甘くはありません。
やっぱりどんな学生でも最初は「マッキンゼーに行きたい」って思うでしょうし。
企業側にインセンティブが弱く収益化しにくい事業になぜ就活支援企業はこぞって参入するのか。
勿論マーケティングやブランド向上の側面もありますが、収益的なメリットで言うと以下でしょうか。
本当のカモは選抜コミュニティ落ち人材
選抜コミュニティがブランド化してくると、こぞって学生は選抜コミュニティの選考を受けるようになります。
選考ですからはっきりと合否が分かれるわけで、落選した学生は「私は優秀ではないのか…」と落胆するはずです。
そこに就活支援企業は手を差し伸べるわけですね。
「君は実際に事業に携わって頭を使った経験を積んだ方が就活にも役立つかもしれないから、このベンチャー企業の長期インターンに行ってみたらどうだろう?」
「そもそも適性として君はコンサルよりも事業会社に向いている。事業会社とのタイアップイベントがあるから今度招待するね」
といったような誘い文句で自分たちと取引のある企業に送客しようとするわけです。
どんな形であれ母集団を形成し、学生の価値観の変化とともにマネタイズ先に流すという形でビジネスを成り立たせている現状があるので、致し方ないことではありますがね。
卒業生を転職支援で更にマネタイズ
これは今後のマネタイズ手法でしょうが、選抜コミュニティを卒業して外コン外銀に入社していった人たちのセカンドキャリア支援は狙っていると思います。
ジュニアバンカーやジュニアコンサルタントはLinkedIn経由でヘッドハンターと接触し転職機会を伺うのが一般的ですが、そこで紹介されるのは同業他社もしくはファンドの採用案件が主です。
事業会社の責任者クラスのような案件紹介はあまりされない傾向があるので、逆に底と強いパイプを持つ就活支援企業は良い条件でポストを紹介できる可能性があります。
一般的に新卒市場よりも転職市場の方が送客単価は高いうえ、入社が決定すると年収の10~20%前後を毎年得ることができます。
これは新卒の場合はみんな同時期にに就活するため学生と会う難易度は企業側にとって低いですが、中途の場合は転職希望者が溜まっているプールが限定的なため、企業側が直接転職希望者に出会う難易度が高くなるからで、その分のプレミアムを支払うというわけですね。
卒業生向けに第二新卒や転職市場におけるハイクラスポスト紹介を就活支援企業は狙っていると思います。
選抜コミュニティまとめ
以上選抜コミュニティについてまとめてみました。
就活生の登竜門的存在となっている選抜コミュニティですが、気になる人はぜひその門を叩いてみてください。